それでは今回も、ハーバードメディカルスクールの「太極拳入門」”An Introduction to Tai Chi”から、太極拳の8つの有効成分をご紹介します。
太極拳の8つの有効成分の6つ目は、
”Natural, freer breathing” 自然でより自由な呼吸
呼吸は生命維持において一番重要です。
何分も息を止められません。
あえて言えば、
呼吸は、食べ物よりも、水よりも重要ということ。
子供の頃から40代まで、ぜんそくに苦しめられました。
なぜ息ができなくなるのか。
「真の原因」は何なのか?
息ができない状態では、食べることも、水を飲むことも苦しい。
ある時、ものごとには「原因と結果の法則」があることを知りました。
「食べられない=結果」であれば「食べた=原因」ではないか?
ぼくの人生においての一番大きな思い込みは、
「食べること」にあったことが、一番大きな氣づきでした。
たくさん酸素を食べ(呼吸をする)、たくさん食べ物を食べない(消化をやめる)、これで、ぜんそくになることはなくなったんです。
ほとんどの慢性的な病気の真の原因は、運動不足(酸素不足)と食べ過ぎ(消化器官の重労働)にあると考えています。
ハーバードメディカルスクールの”Introduction To Tai Chi”にこんなことは書いていませんが、言いたいのは、自然な呼吸は、食べることや運動、環境を含めて「全体性」の中で考えなくてはならない、ということ。
呼吸も、ふだんの食と運動の習慣、精神状態の影響をつねに受けています。
言い換えれば、何かの病気を治すのに、呼吸法だけを学んでも、うまくいかない、ということです。
気功や太極拳では、腹式呼吸が重視されます。
吸った時に横隔膜が下がり、お腹がふくらみます。
吐いた時に横隔膜が上がり、吐き切ると自然に腹筋に力が入ります。
これを繰り返すことで、内臓に圧力がかかります。
血液循環を助ける内臓のマッサージになります。
ゆっくり呼吸することで心拍数は下がり、副交感神経が優位になります。
呼吸をコントロールしようとせず、ただ意識を向けることで「いまここ」に集中できるようになり、精神的なストレスも和らいでいきます。
呼吸は本来、無意識的です。
呼吸法を短時間、意識的にやったとしても、それを意識していない大部分の時間の呼吸の状態がどうなっているかが大事。
動きながら、持続的に、自然な深い呼吸に誘導するためにも、気功や太極拳が良いと考えています。
太極拳が「動く瞑想」と言われる所以です。
「あさたま」では10分間のスワイショウを行っています。
終わった後は、意識していなくても、自然で、より自由な呼吸ができているはずです。