太極拳の8つの有効成分(4) – 主動的リラクゼーション

太極拳8つの有効成分

太極拳の8つの有効成分の4つ目は、

”Active Relaxation” – アクティブ リラクゼーション

「アクティブ」とは能動的、主動的という意味なので、アクティブ・リラクゼーションとは、自らの意思で動くことによってリラックスした状態をつくる、という意味になります。

この反対は「パッシブ」、受動的です。

マッサージやセラピーなど、誰かに何かをやってもらうとか、座ったり寝転がったりしてくつろぐ、というような状態を指します。

受動的なリラックスは筋肉を休ませるリラックス。

気持ちいいですよね。

動きすぎて疲れている状態においては有効です。

でも、いつも運動不足なまま、受動的なリラクゼーションばかりやっていては、筋肉は衰え、関節をまんべんなく使うことができなくなります。

アクティブ・リラクゼーションが良い点は、無駄な力、無意識にかかえている緊張がなくなった状態で、動けるようになることだと考えています。

無駄な筋肉の緊張は、刺激に対する反応を大きくします。

これが「疲れの元」ともいえます。

太極拳の道場では、相手から受けた力を受け止めて返すということを繰り返し練習しますが「やり過ぎ! 動きすぎ!」といつも言われていました。

太極拳で使う動きはそれだけ繊細なものなんです。

体の動きを通して繊細な意識が分かるようになると、こころとからだは一つなので、相手の言葉や刺激的な情報にも、オーバーな反応が少なくなります。

アクティブ・リラクゼーションによって、反応しすぎたり、足りなかったりという「心のくせ」に気づくことができます。

いつもリラックスした状態で過不足なく反応できる「平常心」を保てるようになります。

また、さまざまなポーズをとって、動きの範囲を広げることが、自由に動ける空間を広げます。

精神的なストレスやトラウマは、こころの部屋(氣の場)を、ゆがめ、縮めます。

体の中の状態を、部屋に例えて言うなら、ストレスを抱えて鬱々とした状態は、モノが散らかった薄暗い四畳半の部屋のようなイメージです。

アクティブ・リラクゼーションによって、何も置いていない十二畳くらいの丸いドームテントのような形をした明るくて広い快適な空間を作り出すようなもの。

外側のどの方向から押されても同じ強さで押し返すことができる、低反発まくらのようなやわらかさで、ただ受け止めるだけの弾力のある部屋です。

「インテリジェント・ストレングス」は、知性的な強さを重視した、全身のパーツを無駄なく効果的に使うという表現です。

太極拳道場では、老師が「小指」を使うことが大切だとよく仰っていました。

小指の筋肉はごくわずかですが、その小指のわずかな動きが、インテリジェント・ストレングスを引き出すことを実際に教わりました。

これは太極拳だけの話にとどまりません。

ダンスでも、スポーツでも、その美しさ、力強さは、指先の動きで伝わってきます。

太極拳の円運動、螺旋運動は、動き続ける限り、途切れることがありません。

「動きの瞑想」といわれるように、季節が巡るようにゆっくり動き続けることで、深いリラックス効果が得られます。

また「モデレート・エフォート」(穏やかな努力)という上手い表現がありました。

穏やかな努力は、いつもリラックスした状態を保てるので、疲れず長続きします。

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